「うどんの想い出」

実家から届いた、丸いお餅。それをみそ汁に入れて、いただく朝食は。白味噌ではない、わが家の(味の)みそ汁でも、丸い餅が入っているだけで。何なんでしょうね。何だか懐かしい、何とも言いがたい感情になります。

餅は四角い。そういうものである「今」の日常から、丸い餅を食べていた、子供時代の地方都市のある日が、ふっと蘇ってきて、何だか懐かしい、何とも言いがたい感情が続きます。

食べ物って不思議ですよね。流行歌みたいに直接的ではなく、書物(文献)のように他人事でもない。余所事と自分事のちょうどいいバランスで、記憶が蘇ってきます。

昔から、変わらず、私の好物といえば「うどん」です。蕎麦もラーメンも、パスタも全部、麺類は好物ですが、生まれ育った地域も関係してか、蕎麦よりうどんの方が多く接してきました。(同じくラーメンやパスタよりも、はやくから接してきました)

そんな「うどん」の思い出。

まず、いちばん記憶の古いのは小学生の頃。太秦の映画村で食べた天ぷらうどんです。〈ザ〉がつくほど普通の天ぷらうどんでしたが、それまでは「食べなかった」ふやけたころもが、美味しいと思った最初でした。

ころもを集めて大きく見せた海老の天ぷらが、出汁の中でバラバラになって、浮かんで。それをすくって出汁と一緒に飲む。あれ?美味しい、と始めて思った瞬間でした。

次の思い出は、中学生になる寸前か。スーパーで売っているアルミ鍋の鍋焼きうどんです。麺を8割ほど食べた後、残りの麺をレンゲでブツ切りにして、そこに冷やご飯をぶっ込み、最後にコンロの上でグツグツさせながら卵を落とします。

その卵を、ぐるぐると、かき混ぜながら、カチカチになるまで煮込みます。その旨さとボリュームは、塾に行く前に食べていた想い出の味です。

中高生の時期は、とにかくボリューム勝負でした。学校の食堂では、麺が3倍入った特盛りを頼んで、流し込んでいたし、駅前の『阪急そば』では、大盛りにしても少ないので、天ぷらうどんときつねうどんを2つとも「大」で頼んだりしていました。

(※ちなみに、この『阪急そば』の天ぷらうどん。麺をさっと湯につけて、出汁を入れて、「ふにゃふにゃ」の天ぷら(どん兵衛の方が、あと乗せなのでさくさくです)を乗せるだけなんですが、無性に恋しくなって。働き始めて、一人暮らししていた阪急・西宮北口駅の『阪急そば』には、週一で立ち寄って、あの端っこがちょっと硬い天ぷらを好んで食べてました。)

質より量という中高生の頃の私にも、ふと、体に染みこむうどんもありました。小さい時から食べて続けていた、近所の定食屋のうどんです。

この定食屋の味は、100パーセントに近いほど出前の味です。両親の友禅型(仕事)の締切日の前ともなれば、兄と私は、この定食屋に電話して、うどんが来るのを楽しみに待って、待って、待って、ようやく来た器からラップを外す。と、瞬間にモワッと来るあの湯気と匂いは、いまでも覚えいています。

その後は、つき合った彼女の家がうどん屋だったり、アルバイト先では、韓国料理屋でもないのにチゲ鍋うどんが名物だったり、京都の東山、岡崎、北山で、うどんの行きつけ店が出来たりした大学時代。

ロンドンに滞在中、1ヶ月を過ぎてくると、どうしてもうどんが恋しくなり、当時、レスタースクエア(だったと思う)にあった「トーキョーダイナー」という韓国人が経営していた店で、2,000円(ぐらい)のうどんを食べたこともあります。

当時は、関西のうどんに慣れきっていたので、そのトーキョーダイナーの醤油のきいた出汁に「辛い」と感じていたのに、それよりも久々のうどんに感動して、よく考えたら韓国人がつくる日本食なんだけど、そんなの関係なく美味しいと感じていたこともありました。

そうこうしていると、第何次になるのか、讃岐うどんのブームが再来して、本場・香川に出向いたり、きしめんや稲庭うどんも制覇するぞ、とばかりに、全国のうどんを食べ歩きもしました。

個人的には、大阪の、ちょっと太めで、そこそこ腰のあるうどんが好きなことに気付き、天ぷらよりきつねを好み、カレーうどんも大好きになっていきました。

20年以上前、大阪の西梅田、サンケイビルの地下にあった「四國屋」や、同じく大阪の本町にあった「得正」のカレーうどんが、とにかく美味しかったという記憶があります。

大阪ではあと、地下にあった「更科屋」だったか、なんだったか。そこの鍋焼きうどんも忘れられません。店の名前も雰囲気も忘れ去った後でも、味ははっきり残っています。

東京に住み、慣れて、出汁の濃さがどうのこうのいうことも過ぎて、結局、温かい蕎麦には、東京の出汁がぴったりだということに気付き始めたとはいえ。

冬の、鍋焼きうどんは、格別です。どんな麺類をも寄せ付けない冬の王様です。(本当に鍋をして、締めで入れるうどんも、鍋のうどんとして王者ですが、それはまぁ協会違いということで、両者王者です)

五反田にある普通の蕎麦屋の鍋焼きうどんは、100円で焼き餅がトッピングできるのでよく食べていたし、定食の混ぜご飯と、なんともするする入っていく感じが癖になって、飯田橋にある「きしめんの鍋焼きうどん」もよく食べていました。

帰省した京都では、『おめん』のうどんを食べて、『岡北』でも食べて、『山元麺蔵』でも食べて。せっかく京都に帰ってきたのにうどん食べるの?と妻に言われても負けず食べてます。

とはいえ、ここ最近は、やっぱり、『はなまるうどん』や『丸亀製麺』でうどんを食べることが多く、丸亀さえあれば、ランチ難民にならなくて済む、とばかりに、「使えるアプリ」を最大限利用して重宝しています。

普段使いのこのチェーン店の味が、バンコクで味わえると、同じ丸亀製麺の釜揚げうどんと明太子のおにぎりとちくわの天ぷらも、それはそれは特別になり、東京で食べるのと同じじゃん!と、そのままの味ににんまりした記憶もあります。

ソウルフード。おにぎりでも、お好み焼きでもなく、うどん。これは、確実に私のソウルフードです。故郷を思い出し、そして、私の住んだ・生きた時間と場所に、それぞれに根付いているもの。

思い出すのは、私が長期で海外へ一人旅に出る前の晩は、必ず母は天ぷらうどんを作ってくれました。今は、妻の作るカレーうどんが、私のテンションを上げてくれる料理の1つです。

これからの時間に比例して、うどんの想い出は、どんどん増えていくんだろうなと思いつつ。昨日、テレビで本郷にある味噌煮込みうどんの旨そうな店が紹介されていました。また1つ増やしに、行ってみようと思います。


 2018年11月18日

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