「開拓者たち」

絶妙な速さと角度で打ち分け、ヒットを量産するのが、時に華麗で、往々にして「らしさ」だったイチロー選手。にしては、という意味ですが、あれ?と首を傾げてしまうような打席が(オープン戦から)続いていたのは確かです。

よく、日米で(活躍する)、と言われますが、そういうときには大概、アメリカでちょっと活躍して、ほとんどは日本での活躍、というのが多いです。が、イチローの場合は、逆ですからね。完全に「アメリカ」という地において、レジェンドにまで上り詰めた選手です。

その選手の現役引退とあって、日本で流れた速報を引用する形で、アメリカ中にも広がったようです。西海岸のシアトル(マリナーズ)、東海岸の大都会ニューヨーク(ヤンキース)、そして南のマイアミ(マーリンズ)まで。

日本でも、出身地の愛知県や、がんばろうKOBEを合い言葉に阪神大震災の復興を巻き起こした神戸でも、イチロー引退の速報を受けて、街頭インタビューが放送されていました。その日引退する当のイチローはというと、東京で、試合をしている、という状態。

なんだか、それがすごく不思議でした。確かに、日本で開幕(7年ぶりに)するという舞台があって、そこにイチローが(メジャー契約をして)ゲームに出るということ自体、どこか決められたセレモニーのようでもあったのですが、それでも、開幕戦という本番も本番のゲームですからね。そんな引退試合というニュアンスだけでもないだろうと思ったりもして。

結局は、キングカズが言うように、メジャーという最高峰の場で「できなくなった」自分を、引退させたということなんでしょうね。今回の帰国には、珍しく奥さんを伴っていたというイチロー、引退はすでに決めていたとのことです。

それにしても、3割が当たり前で、年間200安打以上するのが当然と思わせただけでもすごいのに、それに加えて、ピークを越えて(ヤンキースやマーリンズで)控え選手になってからも、イチローはイチローであり続けましたからね。彼の素晴らしさは、むしろそこにあると言っていた解説者もいました。

イチローは、自分自身を野球の研究者だと言います。そして、周りの多くは、その研究結果を「野球哲学」と称します。

野球に対する姿勢、そして、向き合ってきた27年間(のプロ生活)から学び、感じ、与え・与えられてきた結果なんでしょうね。開幕戦、東京ドームでライトの守備位置につくイチローは、45歳には到底見えない絞られた身体、そして軽やかな姿でした。

日本での実績を引っさげて、フィールドプレーヤーとして初めてのメジャーリーガーになったイチロー。移籍直後は、線が細いだの、小手先の技術だけではメジャー投手の球はヒットに出来ない、だのといろいろと言われていました。

その、いろいろと言われた「(細い)絞られた身体」が、この日のドームのライトの守備位置には(変わらず)あり、否定的だった人の口を完全に封じてきたレジェンドとして立っていました。

アメリカ人の若者が、「なりたい」と憧れるスーパーヒーローになったイチロー。

3月21日、東京ドームを埋め尽くした観客たちと、8回の交代時、4分間も試合を中断して抱き合ったチームメイトの前で引退したイチロー。この光景が、選手生活で間違いなく一番思い出深くなると言いました。

逆に、この日、東京で見せてくれた「変わらない体型」と「変わったバッティング」は、試合後の80分以上にも及ぶ記者会見よりも、もっと多くのモノを私たちに教えてくれたように思います。

ストイックに自分をコントロールし、挑戦し、そして勝ってきた男。その勝ちの倍、負けた(くやしい思いをした)男の引退。とにかく、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

それをあの日、引退を決めた試合当日の東京ドームで言いたかった。2,000円の立ち見席もいっぱいだったんだろうな、とも思いますが、それなら水道橋駅の近くで、「イチロー、ありがとー」と叫びたかった、とも思います。

投手として2人目だけれど、実質的には始めて活躍した(パイオニア)野茂英雄投手。そして、フィールドプレーヤーとしての開拓者、イチロー選手。2人とも引退しました。

そして、今、新たなパイオニアがメジャーにいます。投手と打者の二刀流。大谷翔平選手は、パイオニアにありがちな(野茂やイチロー)言葉の類とストイックさと頑固さと孤独さを持っているように感じます。

かねてよりイチローは、大谷には一年交替で、投手と打者をすれば、両方共にしっかりとした記録(サイヤング賞やホームラン王)がつくとも言っています。が、まぁ、おそらくは大谷翔平もまた、記録よりも、自分への挑戦に重きを置くので、二刀流で通すんでしょうね。

今日、3月23日は平成最後の甲子園、春の選抜高校野球の開会式でした。センバツらしいどんよりした曇り空のもと、選手宣誓では「ありがとう」や「えがおをさかせる」という言葉がありました。

血反吐に、泥まみれ、根性、根性と兎跳びだった時代の高校野球から、時代は進みました。大会のスケジュールも、負担のないものになってきました。世界の舞台で活躍する選手が増えれば増えるほど、考え方がとてもスマートになり、判断の基準が「大会運営側」から「選手」になったとも思えます。

そういう環境で育って行く、これからの子供達の活躍は、本当に頼もしいな、と、さて、今度は、どんなパイオニアの姿があり、だれに心躍らされるのだろう、と・・・。星稜vs履正社の試合をテレビで見ています。8回表、2-0で星稜がリードしています。このピッチャー、確かにすごいな。

考えてみれば、メジャーへ選手がどんどんと渡る中、日本での最後のプレーは見納めとして見てきました。イチローの時は、ガラガラの大阪ドーム(現京セラドーム)で、バックネット裏から見た覚えがあります。ダルビッシュの時は西武ドームで、松井秀喜の時は、甲子園だった、かな。

と、ここで大谷翔平というプレーヤーを、生で一度も見ていないことが、悔やまれて仕方がないのです。日ハムの時も、どうもタイミング悪く、こうなったらメジャーで見るしかないのですが、なかなか西海岸へ行こうというプランもなく。

来年、もしかして、東京ドームで開幕戦なんて、エンジェルスさん、どうですか?大谷翔平が先発なんてことになったら、いや〜、これは東京五輪イヤーに勢いをつけますよね。

そんな夢を膨らませながら。昨日、わが家はサッカー三昧の息子と、日産スタジアムのサッカー日本代表vsコロンビア戦を見てきました。風が強く、寒さが一気に戻った中で、とても熱い試合。

コロンビアの選手のボールタッチの柔らかさ、そしてスピード、テクニックに、感嘆の声をあげつつ、日本の中島、南野、堂安のレベルの高いプレー(の連携)に興奮し、香川、乾、柴崎のさすが、というプレーに、それらを融合させたらすごいぞ、と期待してわくわくしました。

ほんと、すごい試合を生で見れて、良かったです。こうなったら、サッカーも、野球も、オリンピック(という超真剣勝負)のチケット、絶対に取りたいな、と生の力に完全にやられています。



 2019年3月23日

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