「もっとゆったり、とにかくしっかり」

例えば、京王線の新宿駅からJR線に乗り換える通用路、階段を下りて・上る間の地下通路を歩いていると、それがラッシュアワーで、いわゆるところの「かばんも浮く」時間帯は、人と人がぴったりとくっついて、まるでマンガの世界です。

で、ふと、「地面から見上げたら、脚って何本生えてるんだろ」と考えます。逃げ惑うとしたら、逃げ道ってあるんだろうか、とも。ラッシュが去って、その通路で、踏まれて死んでた、名前も知らないキラキラした虫を見て、思ったりするわけです。

東京って、本当に人が多いですね。東京大都市圏としての人口は3,700万人。ジャカルタやデリーといった「人であふれかえっている」イメージのあるアジアの都市よりも多い、世界一の人口を抱えています。

京都に住んでいた時、「東京は人酔いする」なんてことを聞きましたが、まぁ、どこに行っても並ぶ(確かに)、電車で座れることは念頭にない(確かに)、イヤホンは線があると他の人にひっかかってとても邪魔(本当にそう)などなど思います。

それに加えて、ここ最近の日本旅行大ブーム。年間3,000万人に迫る勢いで海外からの観光客が訪れます。月単位で言えば200万人以上。そのほとんどの人が、東京を入国か出国のために滞在することを考えると、データイム・ナイトタイム共に、その人数が増されているという状況です。

小銭のやり取りを減らした電子マネーをはじめ、いろんなサービスを簡略化させたとしても、限界がありますよね。細かいことを言えば、エスカレーターに突っ立たれると、後々列が伸びて団子にもなりますからね(もちろん、ロンプラなどのガイドブックでエスカレーターは歩かない、などのあるべき姿が書かれているんでしょうけど)。

これだけの〈人〉、そして各企業の本社機能としての〈情報〉、政治がらみの〈仕組み〉、そのすべてが一極集中している東京という街の、だから便利とも言えるし、危険とも思えるわけです。

いろんなものを分散させると、床面積が増えてお金がかかるからと、コンパクトに機能を集中させるのは結構ですが、無駄を省いて効率的にということばかりに気を取られていると、そもそもの土台(ベース)となる場所が崩れたら、総崩れです。

首都機能を地方都市に分散させることも、人口の一極集中を避けようとした様々な地方都市の取り組みも、なんでしょうね、東京という圧倒的なパワーの前では玉砕しているという印象です。

先週、西日本を襲った大洪水。平成に入って最悪の事態になりました。ぜんぶ流されて、泥に埋もれて、これまでのモノが無になった映像を見ていると、その最中に赤坂の飲み屋で飲んでる政治家も、いやいや、やることはあるやろ?と思います(言うのも嫌になりますけど)。

シンガポールに香港など、狭い土地ににょきにょきと高層ビルを建てて、物価は上昇するだけ上昇した今を見ていると、これだけの規模でいうなら物価が安いと言われる東京も、近々、住み辛くなっていくことが目に見えてますよね(飲み屋で飲んで集合写真に写ってる政治家たちは赤ら顔で笑ってましたが)。

だから、逃げだそうと思います。ここ(東京)で得られるものより、実は失っているものの方が多いのではないか、とも思ったりします。時間は確実に浪費してます。同じことをするにも、いちいち時間がかかります。そして、造られすぎたモノに感覚が麻痺しているようにも思います。

それらを刺激として自分の中に取り込んできたので、(東京での暮らしを)否定も後悔もしませんが、まだやわらかい感覚を持った子供にとっては、果たして、本当に否定も後悔もしないと言い切れるか、どうか。

アプリじゃなくて、ゆっくりと本を開きます。空調じゃなくて、風で気持ちいいを感じます。カフェじゃなくて、家のリビングで話をします。

有り過ぎない空間で、無いものを作ろうとする時間の中で、あれやこれやとトライ&エラーを繰り返しながら、凝縮した日常を送ります。

これを非日常として吸い込むのは、もったいないです。非日常のような時間と空間を日常に取り込む。365日24時間、全部を日常にして、癒され、刺激を受けて、生きていきたい。

いっぱいお金を稼ぐために、自分のほとんどをつぎ込む。そして、稼いだお金を使う時間すらないという悪循環。それって、本当に必要なんでしょうかね。そんな風にして、出てきた考え方に「働き方改革」、「ワーク・ライフ・バランス」なんてものがあるとしたら、それは、時間の使い方や、考え方次第でできるものでもないではないかと。

めり、と、はるの、はっきりした区別。メリハリをつけて日常を楽しみたい。やりたいことはとても豊かに、あくまでも必要な分だけ必要な時に、働き、休み、ゆっくり生きたい。

パリジェンヌは、あれもこれも手に入れようとしません。手元にあるものをうまく使って、あれもこれもと表現します。さとり世代は、何でもかんでも所有しようとしません。シェアできるものは、みんなで使い回します。

作って、売って(買って)、捨てる。そんなサイクルはおかしいと気づいた二十年前、正のサイクルにするだけのスキルやシステムがなかったのが、ロストジェネレーション世代でした。だから、ただただ失った時間なんですが、それを、「おかしくない」サイクルにできるようになった。

今はそんな時代です。定額で使いたい放題、食べ放題。自分の手元になくても自由に使える。CDも車もスーツもジュエリーも。家も、職場も食事さえも。コレが、オレの、という感覚は、そのうちピンと来なくさえなるんでしょうね。

フレックスタイムで働く人が言ってました、遅刻っていう概念がわかないんだよね、と。今は、働く時間という固定された概念さえ、取っ払ってしまっても、そんなに困ることもないそうです。

もっとゆったり、とにかくしっかり、愉しみたい。そんな風に考える時、それが出来るようになってきている日本のムードに、ここは確実に感謝したい。そう思います。


 2018年7月14日

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