「このままいったらアレですよね」
あの夜は「六甲おろし」よりも「栄光の架橋」の大合唱のほうがゾワッとしましたね。優勝を決めた9回表、クローザー・岩崎の登場で、甲子園球場に流れた(故横田選手も使っていた)登場曲。
色んなドラマが、怒濤の11連勝で優勝をつかんだ阪神に重なり、「天国から見てますか」のアナウンサーのコメントも含めてよかったです。
18年ぶりの優勝ですからね。18年前は、ぎりぎり頻繁に甲子園に足をはこんでいた頃でした。あれから、すっかり選手の名前も分からなくなりましたが、他のチームが優勝するよりも、やはり嬉しいモノですね。
アレ、がそんなに流行っていることも知らなかった私でさえ。
でも、道頓堀、別に飛び込まなくていいんですよ。ま、同じようにサッカー日本代表が勝ってもスクランブル交差点ではしゃがなくてもいいし、ハロウィンだからって渋谷に集まらなくてもいいんですよね。
なんとなくマスコミが煽って、それにのっかって、誰が行く、どうする、このままやらなくていいのか?みたいな、変なバイアスが働いているようにも思うのですが。
今年は渋谷区長が、ハロウィンで渋谷に来ないでください、という異例のコメントを出しましたね。それだけ、収拾がつかないんでしょうね。
1人ひとりが、強く意識しなくても、小さな「ちょっと」が群集になると、強大な力になって、そこで人がなだれて押しつぶされたら大惨事ですからね。
ソウルでのあの記憶は、まだ生々しいです。センター街から細い階段が続く坂道の多い渋谷。ほんと、大惨事が起こってからでは遅いので、先手を打つことは重要ですよね。
さて、神宮外苑の再開発について、都が反対意見を出せば、ユネスコの諮問機関・イコモスも反対の会見を開きました。
再開発についての計画が発表されてから、アーティストはじめ、じわじわと広がっていた反対の意見が、いよいよ伐採されるという間際になって勢いを増した感じです。
国立競技場が建て替えられ、続いてこの先10年ほどで神宮球場と秩父宮ラグビー場は場所を入れ替え、ラグビー場は屋根付きの全天候型にして、神宮球場はホテルもくっついた未来的な球場へと変わるという再開発。
いちょう並木はもちろん残しつつ、これまで草野球(軟式)のためのグランドやテニスコートを壊して、市民の憩いの芝生広場を作るというものです。
もちろん、伊藤忠の本社ビルは、もっと高層ビルになって、他にも1棟超高層のビルを建ててその辺にある都会の図に。
これまで「森」と称され都民のオアシスだったこの辺りは、金を生む場所へと変わろうとしています、(スポーツの)聖地なる言葉に置き換えられて。
まぁ、再開発である以上、新宿西口も、虎ノ門も、麻布も全部、人を集めて、金をおとしてもらう場へ変えるのはもちろんのことです。築地市場の再開発も、おそらくそうなっていくだろうことは想像がつきます。
が、この神宮外苑。問題は、「樹木の伐採」です。形だけ残すといういちょう並木も、すぐ隣まで神宮球場をつくると、「根」がはれないという指摘もあります。
結局のところ、あれだけ広大な「森」を、金もうまないままは置いておけないという大前提があり、〈形だけの〉保存を強引に付け加えるから、決定的な欠如があるんでしょうね。
一度、壊してしまったら(伐採してしまったら)二度と戻らないという当たり前のことを、計画段階の最初から定数として定めて、その残りで、変数的に「もうける術」を考えていたら、こうはならなかったんじゃないかな、と思うのですが。
イコモスの会見では、「世界の公園の歴史においても例のない文化的資産」とする神宮外苑の「樹木が破壊されるのは受け入れられない」として、再開発の中止を求めました。
都やイコモスの動きを受けて、再開発側の宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事株式会社、三井不動産株式会社の4者も「真摯に受け止めて」と見直す姿勢があるようにも思いますが、結局、落としどころを見つけるといった感じなんでしょうね。
700本保存して、800本伐採する、とか、1000本伐採するとか、高さ3m級の大木を次々きっちゃうとか。結果、丸坊主にされて、キレイな人工的自然だけが整備されて、そこに業者を招いて、人を集め、お金を生む空間に変える、ですからね。
もし、本当に見直すなら、修正案、妥協案ではなく、根底に〈保存ありき〉から立て直すことが、結局のところ近道じゃないかな、と思いますが、そこには色んな利権や金の顔色なんかがあるんでしょうね。
これだけの大都市ですからね、大規模な再開発は一筋縄ではいかないもんですね。ただ、このまま、再開発側も、都も、国際的な機関も、落としどころを見つけて、それっぽい「答え」を見つけてしまうと、〈アレ〉ですよね。
中途半端に保存にして、中途半端にしか金を生まない、そんなことにならないように。
信濃町で降りて、歩道橋を渡って日高屋の横を通り抜け、そのまま「木々の間」を歩いて夜のナイター観戦は、ならではの光景でしたからね。
その〈ならでは〉ありきで、再開発されればいいのにな、と私も思うところです。
2023年9月16日
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